堀越捜査一課長殿(ペテン師と空気男 他四編/江戸川乱歩/春陽堂・江戸川乱歩文庫 ISBN:4394301319 収録)

とか、いいつつ、これを読み返してました。これも実家から持ち帰り本。前に読んだのが多分5年くらい前なのにトリックもオチもすっかり忘れてました(途中で思い出したけど)。これは乱歩せんせいにしては(?)筋の通ったトリックなんじゃないかなあ。

堀越捜査一課長という人物に宛てられた謎の手紙は彼自身の汚点となっているある事件に関するものだった。迷宮入りしてしまった現金強奪事件の実に意外な真相とは?
といった物語なのですが、こうやっていくつか乱歩先生の小説を読み返してあらためて感じるのが、江戸川乱歩の語り口の素晴らしさです。どんなチープでありえない(これはそうでもないけど)トリックも乱歩先生の手にかかると、「うつし世のゆめ」になってしまうなあ、と作品とは関係あるようなないような感慨を抱くのでした。