黄金仮面(光文社 江戸川乱歩全集 第七巻)

「黄金仮面コスプレセット(携帯)」を依頼主に見せびらかす明智先生、コスプレ用クローゼット(のようなもの?)がある明智先生、マイ蝋人形を持ってる明智先生、どう考えても好きでコスプレしてるとしか思えない明智先生、そんな明智先生の魅力炸裂の長編小説「黄金仮面」。ひさしぶりに読んだけど、おもしろーーーーーい。この頃はまだ明智先生は独身だったんだなあ、とかそういうことを確認しながら読む。夜の街を徘徊する黄金仮面、謎を追うのは我らが名探偵明智小五郎!(と盟友波越刑事)。増殖する黄金仮面の正体は実はあの有名な人物???謎が謎を呼び、混乱が混乱を呼ぶ。

暗やみの中できらきらと光る金色の仮面、といういかにも乱歩らしいビジュアルがとても楽しい。この小説については、エスペラント語に訳された際に乱歩先生自らが「日本の探偵小説はこの「黄金仮面」の如きものばかりではなく(中略)多くはもっと調子の高い智識的なものである云々」と注意書きをつかなければならなかったくらいばかばかしく楽しい小説。ときめきます。