マッスルヒート (監督:下山天 主演:ケイン・コスギ)

つまらないにも程があると思う、ケイン・コスギ主演第一作。必死にアクションスターであろうとするケイン・コスギに同情すら覚えるへなちょこ作。

2009年というえらく中途半端な近未来を舞台にブラットヒート(なんてひどい名前だ)というドラッグを巡って、くりひろげられる物語。

このブラットヒートの捜査官であるケイン・コスギが主人公であり、基本的には、相棒である哀川翔が敵にさらわれてボコボコにされた上に薬漬けにされ→怒り狂ったケインが哀川翔を助けに行く→色んな人と強制的に「マッスル・ドーム」というこれまた悪趣味な名前の施設で戦わされ→最終的にボスである加藤雅也と対決、というただそれだけの話なのに、哀川翔とケインの信頼関係がほぼ描かれないために、見ている人間が非常にケイン・コスギに感情移入しにくい作りになっており、そしてケイン・コスギのファンへの(非常に勘違いした)サービスとして、感情のかわりに、格闘が延々と描かれるのかしらん、と思ったら、それもブツっと途中で感じが悪く切れてしまうのでした。

中途半端に三池崇史映画っぽい(と思ったら、撮影が三池映画で御馴染みの山本英夫だった)無国籍設定とかに、かえって怒りを覚えます。Vシネマや低予算映画に慣れた目には、そこそこお金のかかってそうなセットもさらに怒りに火を注ぎますが、見どころとしては
1.こんな酷い映画でも、すごくかっこいい加藤雅也(でもあの服装はどうかと思った)
2.ケイン・コスギの肉体
3.哀川翔のあまりにもひどいやられっぷりと白塗りゾンビ顔(哀川翔って「Vシネマの“帝王”」だからやられるときも大概カッコ良くやられるから(?)、こういう一方的にやられっぱなしの役は珍しいのではないのでしょうか、とはいえなんせ150本以上ある哀川翔作品はまだまだ未見作だらけなので、なんともいえませんがー)
4.意外に目張りが似合う金子昇

くらいしかないので、この4人のファン以外の人は見ないほうがいいと思います。あとの出演者は出てるのがかわいそうなくらいです。


マッスルヒートがあまりにもつまらないので、おかげでその後に見た「借王」がいつもにまして面白く感じられました。